■桜の木班■

他地域訪問:くにたち桜守(その1)


●訪問日時:  2005年9月18日(日)  PM9:30 
●集合場所:  JR中央線 国立駅前大学通り桜並木
                  一橋大学  南門
●訪問地域名: 国立駅前大学通り桜並木
●訪問先:    くにたち桜守  代表 大谷和彦
●訪問目的:  <くにたち桜守>という市民のボランティアが、行政の力を借りながら桜並木の維持管理を行っている。このほど、樹勢回復対象木となっている4年前の胴巻きを開き空洞部分に伸びているはずの不定根がいかなる状況かを観察するという調査観察会に参加する。そして、私達の活動に参考になればと思っている。
●参加者 : 上北沢; 野口松子、佐藤三鈴、青木俊江、和田和典、佐藤信二郎(記)
          くにたち桜守;  大谷代表、中原副代表、和田樹木医、瀧島先生、約16名
               * 瀧島義之:全国花のまちづくりネットワーク事務局長

<国立大学通り桜並木>とは?
新東京100景にも選ばれている国立駅から南に2kmほどの大学通り、幅が44mもある町のメインストリートになっています。道の両側にあるグリーンベルトには、桜と銀杏の樹が交互に植えられています。現在の大学通りには桜の総本数は211本と言われ、樹齢約70年に達しています。
<くにたち桜守>とは?
<春には花のトンネルを毎年変わらず見せていたので、桜があげる微かな悲鳴を聞き分けた人は多くいませんでした>と語る大谷代表たち数人が、7年前から、根元を踏まれぬよう草花を植え、生垣を作り、トラックの荷台でけづられた傷口に殺菌剤を塗布する活動がこつこつと2人からはじめられたのがスタートでした。そんな地道な活動が行政を動かし、市民によるボランティア組織『くにたち桜守』が2000年に誕生しました。そして、現在数十年かけて樹勢を回復する活動に取り組んでいます。
現 状 : 一言で言うなら「大変ショックで有った」ーー樹勢回復の先進的な実験の場
1. 並木の環境は申し分なく広く土壌豊か。上北沢は「土質」対策の検討が必要と痛感。
  但し、桜木の植えられている土壌開口部の広さ広く、踏圧はほとんど無し。上北沢の桜並木とは圧倒的に違う。
2. 樹木は上北沢以上に弱っているものが有る。
   (行政は5・6年前まで殆ど無関係の由)22本選定し樹勢回復の対策実施。
3. 会員のレベルは高く、年齢層も上北沢より若い。参加者自らが、つるはし、スコップを持ち、穴を掘っていく、
  胴巻きは自分達が開き、閉じる作業を行い、通常の土を空洞に流し込む作業を行っている。
4. 「国立」以外の住民が積極的に活動している。
   (財)日本花の会の瀧島義之先生、和田博幸先生、EM研究機構の星野豊先生らの専門家集団があり、
   強力なアドバイスを行っている。
5. 活動は「力仕事」が多い。
   道具類、EMボカシ(発酵菌)の仕込みと保管場所の提供などを行政の協力で行っている。
6. 「国立の桜」が有名に成ったので、業界有力者も格安で協力してくれるようになった。
他地域訪問:くにたち桜守(その2)
●樹勢回復対象木・36番
コフキサルノコシカケ発生。
試掘により線虫発見――マリゴールドを植えるなど対策を講じた。
胴巻きには、赤土・EMボカシを投入。水遣りが2年目以降減少。
樹勢は上北沢のどの木よりも弱く、2M弱の空洞が根元まで大きく空いており、樹形も悪い。不定根は空洞の最高部から約1.5M伸び、あと30cmで地面に達するもの1本有(φ1.5cm)。
他に不定根は多数有るも短く、毛根多く削除(高遠では、この手入れを怠った為全滅の由)。
自らの桜木を自らの手で、作り育てる。
 
他地域訪問:くにたち桜守(その3)
●樹勢回復対象木・43番
この木には下記注意書きが大きく掲示されている;
「この桜は過去3年間、EMボカシの散布等を行って来ましたが、樹勢回復が思わしくなく、根を調べて見ると線虫に冒されている事が解かりました。
この為、従来の樹勢回復方法のほかに、草木灰の散布・木酢液の散布・マリゴールドの植え付け等 線虫防除の方法を加えました。 くにたち桜守 」
前述36番よりは手入が行き届いていた為か、不定根は3本が地面に届いており、この内2本はφ1cm以上あり、毛根も少なく、不定根は成功したと判断される。
問題点として指摘されていたのは;
今後この43番に注力していると、他の問題木に、人手も金も回らなくなる可能性が有る。43番にどの程度注力するか、36番も含め見極めが必要。